「レーンー!」
鈴の音みたいな軽やかな声が耳に届く。
すぐに誰のかなんてわかった。けど、パタパタ走ってくる足音が近づいてきてから、ゆっくり振り返る。だって、すぐに振り返ったらずっと待ってたみたいで格好悪い(その通りなんだけど)
「レーン!」
声が真後ろでしてから俺ははじめてちゃんと後ろを向く。それから低い声で「どうしたの、リン」なんて言えたら、完璧だったのに
「うわっ!!ちょ、リン!!!」
「レン充電ー」
リンが抱き着いてきて、俺の完璧な彼氏計画はあっけなく瓦解。
「レンあったかーい」
だってちょ、まってリンさん密着度はんぱないんですけどあんま感触ないけどこれ胸とかあたってるしリン柔らかいしつーかリン背中に腕回してるしあれこれどうすんの俺も背中に手回したりとかすればいいのそうなのそうだよなうん
「リ・・・」
「うん、充電かんりょー!」
「うぇ」
腕回そうとした途端、とんと俺の体が押されてリンが遠退く。マヌケな俺にリンは満面の笑み。
「よし、頑張ろうね、レン!」
「う、え、おお・・・」
「よし!」
じゃーねーって。リン。ちょ、可愛いけど、可愛いけどさ!!!
「勝てない・・・」
ボソッと呟いてうなだれる姿がどっかのアイス好きと被りゃしないかと、それが不安だ。
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