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頭の中で延々温めてきたネタをどうにか形にしたくてでも知識も気力も文章力もたらなくてネタのままおわりそうな妄想を書き綴ります。 未来設定。 世界のエネルギー原料は全て太陽。また管理プログラムによる厳密な人口統制により世界中が安定したゆたかさを持っている。 しかし太陽の衰えによりもうじき地球、銀河系自体が滅ぶといわれており、人類は地球の別宇宙への移転を計画している。 先進国では人類の脳波を電気エネルギーに変換しチップで読み取るメールシステムが大流行中。所謂「テレパシー」がごく自然なこととなった。 芸術は「思想型」というイメージを厳密に頭の中で練り、それを投射するホログラムやバーチャルリアリティの美しさが競われるようにになった。 この時代のホログラムは単なる立体映像ではなく、人間の脳に植え込んだチップを介し人間に「そこに物がある」と誤認させるというものであり、その感触や温度などまでもリアルに再現することができる。 一見平和に見えるが世界規模のテロ集団「階段撲滅運動委員」が先進国にプレッシャーをかけてきている事実もある。 主人公は思想型の芸術家。21世紀頃の日本に惹かれ、そのホログラムを創ることに夢中になっている。 しかしその芸術が極めて階段委員に近いとされ、政府から睨まれている。 ある日主人公は階員に拉致され、その長に自分たちの計画に協力することを迫られる。 その計画とは、文明の後退。地球を緑豊かな頃に戻し、原始的な行動を送らせるというものであった。かつては夢物語でしかなかったそれは、先進国連が脳にチップを埋め込んでる今可能だという。彼らの脳に元々我々は原始的な暮らしをしていたという錯覚を起こさせるのだ。そしてホログラムの世界で彼らには生活をさせ、その間に階員は本拠地となる最低限の電波局を残し、全ての文明を破壊する。何代にも渡ることになるが理論上可能であると長は言う。 しかしそんなことをすればいずれ太陽の衰えにより地球は滅ぶのに、移転できなくなる。そう訴えるとそれこそが人類の正しき終わりだと彼は言う。その言葉に空恐ろしさを感じながらも彼はやむなく研究をはじめる。 そして研究を続けるうちに、彼はある一つの衝撃的な事実にたどり着く。 それは、彼らのいる地は、既に地球ではないという事実だった。 現在より千年以上もまえに、人類は地球を離れ、新たな惑星へと渡っていたのだ。 それはかつての政府が秘密裏に行ったことであると思われた。恐らく、人類の全てを別惑星に避難させることは不可能だったのだ。先進国の人間のみを政府は避難させることにしたが、そのためには先進国の人間にすらそのことを隠す必要がある。宗教的道徳や、良心の強い者が避難を拒む可能性があるからだ。また恐るべきパニックが起こる可能性が非常に高い。そこで政府はチップを使い、先進国の人間を催眠にかけた。彼らは地球に住み続けている、という錯覚を覚えさせられながら、惑星を移り住まされたのだ。そのまま代を重ね、今や地球とはこの惑星だと誰もが信じている。 そしてその惑星も、滅びが近い。 主人公はこの事実にたどり着き、階員の行動の虚しさを知る。しかし彼は事実を階員に伝えることをやめ、さらに研究を深める。 そして彼は気づく。ホログラムは代を重ねてなお、解けてはいない。今も人類はホログラムの中で生きているのだ。かつての地球の姿を脳が誤認したまま生活を送っている。 つまり、太陽の衰えの計測や移転の計画が、無意味であるということに気づいた。なぜならかつての地球を土台において科学者は測定を行っているからだ。 主人公はこのホログラムを解くことに成功する。この頃には彼が口先八丁で集めた仲間達が彼の仕事を手伝うようになっていた。 十年近い歳月をかけ、彼は漸くホログラムを解く方法を見つける。 大掛かりな機械に横たわり、彼はホログラムを解いた。 目を開けると、はじめに目に入ったのは、夥しい数のコードだった。それが、自分の体に繋がれていた。 起き上がると、自分は謎の機械の中に横たわっていた。手を見て、愕然とした。それは子供の手だった。顔や体に触れると、自分はほとんど機械で出来ている。 混乱しながらも彼は歩く。彼は断続的に光る機械類の中にいた。窓を見つけ、外を見る。そこは宇宙だった。 そこは、小さな、ごく小さな宇宙船の中だったのだ。 やがて彼はシステムを呼び出し、いったいここがなんであるのかを知る。 文書には、こうあった。 地球は人類の科学の進歩により、滅びを迎えた。 かつての一部研究者及び政府は、決断を下した。 それは、地球のデータをホログラムとして宇宙に残すというものであった。 精密で、リアルなホログラムを研究者は子供の脳の中に作った。そして先進国でチップを埋め込んでいる全ての人間のデータをそのホログラムに加えた。子供の体は数千、数億の時を生きるよう、ほとんどの部分を機械にかえ、脳だけがかろうじて人間の部分を残し、宇宙へと船で放たれた。 こうして出来た地球人類のデータ、それが主人公の住む世界であったのだ。 そしてもう一つ、主人公は驚くべきものを見る。どうやらここまでたどり着いた者は自分一人ではないようだった。 壁に、名前が刻まれていた。いくかの名前。そして自分たちのデータ世界での西暦。 主人公はそれを見て涙を流し、自分たちはデータに過ぎなくともホログラムの中の世界は確かに生きているのだという確信を持つ。 そして彼は子供の体のシステムの中に、外側からホログラムを改竄できるシステムを見つけた。我々の地球は今また新たな滅びに直面しかけている。実在しない太陽の衰えに世界を滅ぼされかけている。主人公はそのホログラムデータを改善し、なかったことにすることも出来た。しかし主人公は、なにもしなかった。太陽の衰え、テロリストの横行。マイナス面の問題だ。しかし、彼はそれをなかったことにして消そうとは思えなかったのだ。世界は誰に手を加えることもできない。そのままを受け入れ、そして世界の中で改善しなくてはならない。 主人公はデータに手を加えなかった。かわりに、主人公はたった一つ、世界中の人間にメッセージを送った。 「世界は美しい」 ただその一言を。 ほんの一瞬のメッセージだ。他のデータに押され、すぐに消えるだろう。それでもよかった。主人公は叫びたかっただけなのだ。その言葉を。 そして彼は子供の体で再び機械の中に戻ると、目を閉じた。 そして長い長い、夢の世界へと帰っていった。 PR |
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